60歳定年後の設計図

「起業」への憧れは捨てよう。「独立」という武器を研ぐのが最適解——会社が守ってくれない時代の生存戦略

60歳定年後の設計図
2022年8月21日

会社のお荷物。「不良在庫」と呼ばれる恐怖をご存知ですか?

今のあなたに、あえて厳しい問いを投げかけさせてください。

会社の看板を外したとき、あなたには何が残るでしょうか。

私はかつて、サラリーマンでした。

そこから意気揚々と起業し、手痛い失敗を味わいました。傷を抱えて再び会社員に戻り、組織の論理に揉まれ、そして今、ようやく「独立」という自分だけの城を築いています。

この泥臭いプロセスを経た私だからこそ、お伝えできることがあります。

会社員、社長、個人事業主。

すべての立場を味わった私がたどり着いた結論です。

50代、あるいは60代を目前にした私たち世代。

鏡に映る自分を見て、何を思うでしょうか。

「まだやれる」という自負でしょうか。

それとも、「このまま終わるのか」という焦燥でしょうか。

残酷な事実をお話しなければなりません。

今の時代、会社はもう、私たちを守ってはくれません。

終身雇用なんて言葉は、昭和の遺物。博物館にでも飾っておけばいいのです。

一部の突出した成果を出し続ける人間を除き、多くのシニア層は、会社にとって「お荷物」として扱われがちです。

口には出さずとも、経営陣や若手社員の目は雄弁ではありませんか?

「あの人、給料に見合う働きをしていないよね」

そんな無言の圧力が、ボディブローのように効いてくるのです。

本当は、一人ひとりに素晴らしい個性があります。

長年培った経験があります。

ですが、今の会社にそんなものを見極める余裕はありません。

大手だろうが中小だろうが、同じことなのです。

一度、「不良在庫」というレッテルを貼られたら終わりです。

倉庫の隅に追いやられ、埃をかぶり、誰にも顧みられないまま定年という名の廃棄処分を待つ。

そこから抜け出すのは、至難の業だと言わざるを得ません。

だからこそ、処分される前に動かねばならないのです。

「自分自身の商品価値」を極限まで高め、市場という荒野へ飛び出す準備をする。

会社にしがみつくのではありません。

会社を利用し、使い倒して、次のステージへの踏み台にするのです。

それが、私たちが生き残るための、唯一の道ではないでしょうか。

「社長」になりたかっただけの、愚かな私。

ここで多くの人が勘違いをします。

「よし、会社を辞めて起業しよう」と。

かつての私もそうでした。ですが、ここで一度立ち止まってください。

あなたは、「起業」と「独立」の違いを明確に語れますか?

どちらも自分で事業を営む点では同じに見えます。

ですが、その本質は似て非なるものなのです。

最大の違いは、「会社を経営するか否か」。これに尽きます。

私はかつて、雇われ社長として会社経営に携わった経験があります。

そこで痛感しました。いえ、絶望したと言ってもいいでしょう。

「私には、人を雇う才覚がない」と。

経営者と従業員。

この両者の間には、決して埋まることのない深くて暗い溝があります。

経営者は、24時間365日、会社のことを考えています。寝ても覚めても、売上のこと、資金繰りのこと、未来のことばかり。

一方で、従業員は違います。彼らにとって会社は、生活の糧を得るための場所に過ぎないのです。

私が寝る間も惜しんで働いている横で、彼らは当たり前のように定時で帰り、権利としての休暇を主張します。

もちろん、それは労働者として正しい姿です。法的に守られた権利ですから。

ですが、当時の私にはそれが耐えられませんでした。

「なぜ、もっと必死にならないんだ?」

「なぜ、同じ熱量で走れないんだ?」

そんな苛立ちが、組織を腐らせていくのです。

大手企業の不祥事を思い出してください。

トップが引責辞任するニュースを見るたび、私は思います。

「辞めることが責任を取ることなのか?」と。

本人が職を辞しても、会社には課題が山積みで残されますよね。

本当の責任とは、逃げ出すことではありません。直面している課題を解決し、泥水をすすってでも事態を収束させてから、静かに身を引くことです。

ですが、そんな覚悟を持てる人間は稀なのです。

人を雇うということは、自分とは全く異なる価値観を持つ人間と共存し、彼らの人生まで背負うということ。

私には、その重圧が苦痛でしかありませんでした。

それなのに、私は愚かにも起業してしまったのです。

「代表取締役」という肩書き。

「オーナー社長」という響き。

そんな中身のないブランドに憧れていただけでした。

結果はどうだったと思いますか?

本来、私が全力を注ぐべき顧客サービスの開発や、コンテンツの改善。

そういった「価値を生み出す仕事」に割ける時間は、驚くほど削り取られました。

代わりに私の時間を奪ったのは、社会保険の手続き、登記、決算書の作成、資金繰りの計算……。

事業の本質とは無関係な、しかし会社を維持するためには避けて通れない雑務の山だったのです。

顧客を見ずに、書類と通帳ばかり見ている日々。

クリエイティブな情熱は枯れ果て、ただ「社長ごっこ」を続けるための延命措置に追われる毎日。

そんなものが、私の望んだ自由だったのでしょうか?

答えは、否です。

捨て身の「独立」。ひとりビジネスという最強の選択。

だから私は、あなたに「起業」は勧めません。私が強く推奨するのは、「独立」なのです。

人を雇わない。 組織を作らない。 立派なオフィスもいらない。

身一つ、パソコン一つ。

自分というリソースを、100%「事業の成長」と「顧客への価値提供」にぶち込む。

それが、個人事業主としての独立です。

「独立なんて不安定だ」 そう笑う人には笑わせておけばいいのです。

今の時代、会社員であることがどれほどのリスクか、彼らは気づいていないだけなのですから。

突然のリストラ、役職定年、会社の倒産、M&Aによる環境激変。

私は、このすべてを経験しました。

他人の船に乗っている限り、自分の運命は他人の舵取り次第です。

それこそが、最大の「不安定」ではないでしょうか。

一方で、独立した個人は強いです。

自分の食い扶持は、自分の腕で稼ぐ。

市場が何を求めているかを肌で感じ、瞬時にサービスを変え、値付けを変え、提供方法を変える。

このスピード感こそが、巨象のような大企業には真似できない、私たちの最大の武器なのです。

50代からの戦い方は、若者のそれとは違います。

規模を追ってはいけません。売上高という数字の虚栄心に囚われてはいけません。

目指すべきは、利益率であり、時間の自由であり、精神の平穏です。

まずは、個人事業主として立つこと。

自分の名前で仕事を取り、自分の責任で完遂する。

そこで得た収益は、経費を除けばすべて自分のものです。

  • 誰かの給料を心配する必要もありません。
  • 誰かの不始末の尻拭いをする必要もない。

ただひたすらに、目の前のお客様を喜ばせることだけに集中すればいいのです。

これほどシンプルで、これほど充実した働き方が他にあるでしょうか。

会社員のまま、牙を研いでください。

では、どのタイミングで独立すべきでしょうか。

「今すぐ辞表を叩きつけろ」とは言いません。それは無謀というものです。

普通の人が歩むべき王道はこうです。

会社員という安全地帯にいるうちに、徹底的にビジネスの実験をするのです。

✅会社の看板を使って、人脈を作る。

✅会社の金で、スキルを磨く。

✅会社のプロジェクトで、失敗の経験を積む。

会社員であることのメリットは、失敗しても給料が入ってくることです。

この特権を使い倒さずして、どうしますか。

副業が許されるなら、今すぐ始めればいい。許されないなら、ボランティアでもプロボノでもいいから、社外の物差しで自分を測る機会を持つのです。

そして、手応えを掴むのです。

「会社の看板がなくても、自分という人間にお金を払ってくれる人がいる」

その確信が得られた時、はじめて辞表を出せばいいのです。

もし、事業が予想以上に成長し、自分一人の手には負えなくなったなら?

その時になって初めて、「法人化」や「起業」を考えればいいだけの話ではありませんか。

最初から箱を用意する必要はありません。中身が溢れ出してから、箱を作ればいいのです。

50代。

人生の折り返し地点などではありません。

会社という檻から解き放たれ、本当の意味で自分の人生を生きるためのスタートラインです。

「不良在庫」として処分されるのを待つか。

それとも、自らを「希少価値のあるヴィンテージ」として磨き上げ、高く売り出すか。

選ぶのは、あなた自身です。

ですが、時間は待ってはくれません。

今日、この瞬間から、意識を変えてください。

あなたはもう、ただの会社員ではありません。「独立準備中のプロフェッショナル」なのです。



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